張り子のお面に絵を描こう|KIDS × ARTIST vol.20 小板橋基希

木や竹、粘土などで作った型に、のりで紙を貼り重ね、乾いたら型を外して絵付けをする「張り子」と呼ばれる技法は、昔から日本各地の郷土玩具やお面づくりに使われてきました。今回は、山形を拠点に活動するデザイン事務所「アカオニ」の代表で、東北に伝わる伝統芸能に触れてきたアートディレクター・ 小板橋基希さんを先生に迎えて、張り子に絵を描くお面づくりに挑戦です! 先生が用意してくれた、いろんな形をした張り子のお面型。実はこれ、山形で2年に1度開催されている現代アートのフェスティバル「山形ビエンナーレ 2018」の際、小板橋さんが山形に縁のあるアーティストたちとともに立ち上げたお面の研究会「山の面々」で制作した張り子の型なのだそう。山形の伝 統工芸士直々の技術指導のもと、型の成形もゼロから手作りしたという本格派です。その上、数種類ある形も、どれもユニーク。どれにしようか、みんな迷いながら1人2つの型を選びました。
「お面というのは、ずっとむかしから、日本だけじゃなくて世界中のいろんな地域でつくられてきました。たとえば……」と、先生が世界各国のお面の写真を紹介。秋田の民俗行事に登場する「なまはげ」の写真がでてくると「知ってる!」という子がいたり、真っ赤な鬼の写真がでてくると、みんな口を揃えて「おに~!」と手をあげたり。すっかり盛り上がったところで、「じゃあ、みんなはどんなお面で変身したいかな? ひとつ約束、今日はキャラクターを描くのはやめよう。どんなものでもいいので、自分で考えたものを描いてみて」と先生。ワークショップが始まる前から大好きなキャラクターを描こうと決めていた子も気を取り直して、新たなテーマを見つけたようです。みんな思い思いに色を使い始めて、パレットがあっという間にカラフルに。ものの30分ほどで1人2つのお面が完成しました。宇宙に興味津々の太郎くんは、宇宙人とUFO。ハワイでの家族旅行から帰ったばかりのややちゃんは、貝と山。ソフィアちゃんは、大好きな猫。ケノくんは、なんとも独創的なオバケと山! みんなの仕上がりに先生も大感激です。
「日本古来のお面には、人が人でないものに“変身”し、現世と常世を行き来したり、自然との橋渡しをするという役割がありました。今日みんなが描いた絵には、そうしたことを知らなくても彷彿とさせる何かがあって、はっとさせられました。次は、実際にお面を被って“変身”して遊んでほしいですね」
 
小板橋基希
1975年、群馬県生まれ。アートディレクター/デザイナー。2004年、山形に〈アカオニデザイン〉設立(2016年 に社名を〈アカオニ〉に変更)。以来、グラフィックデザインからWeb、写真、動画、コピーワークなど、あらゆ るクリエイティブを駆使するデザインチームのリーダーとして、全国のクライアントと仕事をしている。
mammoth [マンモス] No.40 へんしん Issue