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三角おにぎり・爆弾おにぎり|女将の評判おにぎり

「元町 梅林」女将、平尾禮子さんに尋ねた”大好きだったママの味”。子どものころから、食べることもつくることも大好きだったという平尾さんに、思い出の味、そして伝えていきたい味について語ってもらいました。
「私は戦時中に少女時代を過ごしたの。だから食べるものがあるだけで幸せでした。白いごはんはとっても貴重。おにぎりひとつ食べられるだけでもどんなにうれしかったことか。私の育った時代と違って、いまはなんでもあって便利だけれど、なにか大切なものが失われてしまったように思いますね。人は愛情のなかで育つもの。その基本にあるのがお母さんの愛。愛情のこもった家庭料理を食べて育つことは、本当に大切なことだと思います。私の母もお料理が大好きで、食材に恵まれていなかった時代に、いろんな工夫をして家族のためにお料理をつくってくれました。そんな母を見て育った私は、子どものころからお料理好き。母から受け継いだ『母ごころ』をみなさまにお伝えしたくて、こうしておにぎりをむすんでいるのよ」。  
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【塩むすび、梅むすび、鮭むすび】
形はしっかり中ふんわり、口のなかでほろりとほぐれる理想的なおにぎり
●つくりかた(三角おにぎり)
1. ごく少量の手水(手が軽く湿る程度)をつけ、適量の塩を手のひらに均一にのばしてなじませる。
2. 人差し指、中指、薬指の3本で山をつくり、おにぎりに角をつける。
3. 角度を変え、3本の指と親指で包むように、角と面をととのえる。
4. きつねをイメージして、コンコン♪とリズムをとりながら、軽くにぎって形をととのえる。
※海苔はお好みで。子どもに好きな形に切ってもらうのもいいですね。
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【爆弾おにぎり】
どんなものでも具になるの。余った食材を工夫して、家族に愛される家庭の味を見つけてほしい。
●材料(1個分)
ごはん3合、海苔2枚、塩適量、梅干し、鮭、焼きたらこ、さわらの唐揚げ、おかか(しょうゆで味つけしたもの)、半ずりの黒ごまと大根のみそ漬、高菜、しらすの佃煮
※具材は例です。どんなものでも具になります。
●つくりかた
1. 丼にすり切りくらいにごはんを入れる。
2. まんなかに梅干しを入れ、周辺に具材を入れる。
3. 具の上に、下のごはんと同量のごはんを盛る。
4. 手塩をたっぷりつけ、丼を手でまわしながら形をととのえる。
5. 手首のスナップをきかせて、おにぎりを空中に放り投げるようにしてにぎる。
6. 上下に海苔を置き、ラップで包んで、さらに形をととのえる。
平尾禮子(ひらお ひろこ)
1930年、静岡県藤枝市生まれ。7歳から横浜に移り住む。横浜共立学園卒業後、実家の「吉田町 梅林」を手伝うかたわら、料理研究家の田村魚菜氏に師事。1972年、母のすすめにより「元町 梅林」をオープンする。故・黒沢明監督をはじめ、多くの著名人にも愛される料理屋の女将として、現在も娘夫婦、孫たちとともに店を切り盛りしている。著書に『女将の評判おにぎり』(創森社)がある。
この記事は、マンモス12号に掲載されたものです。