photography: Mie Morimoto

MAMMOTH KIDS × ARTIST vol.6 造形作家・柴田美千里さんとサルのしっぽをつくってみよう!

はるか昔、サルとヒトには共通の祖先がいました。ヒトは進化の過程でしっぽをなくし、一方、サルはしっぽでバランスをとり、物をとったり、つかんだり、木にぶら下がったり、手足のようにつかっている。もし、私たちにもしっぽがあったなら、どんなしっぽが似合うだろう? 造形作家の柴田美千里さんと一緒に、サルのしっぽづくりに挑戦です。
サルのしっぽづくり Wag Your Monkey’s Tale
胴体だけのシマウマ、顔のないキリンなど存在感のある立体作品から、動物のしっぽまで、ユニークな作品を制作する造形作家の柴田美千里さん。柴田さんがつくるしっぽは、身につけるだけで楽しい気分になる不思議な作品だ。
「以前、動物の作品をつくる機会があり、そのときに動物のしっぽをつくったらおもしろいのでは?と思ったことがきっかけで、しっぽづくりをはじめました。ときどきファッションとして流行ることがあるけど、アート作品と決定的に違うのは「つけたら恥ずかしい」ということ。しっぽをつけて街を歩くのは勇気がいりますよね。恥ずかしいという感覚があるほうがアートとしてはおもしろいのです。
今回は、子どもたちとサルのしっぽをつくりました。つくりかたを説明すると、子どもたちはすぐに理解して「こんなしっぽをつくりたい!」と自分の意見を伝えてきたことに驚きました。図鑑のサルを見ながら自分はどんなしっぽがいいかイメージして、個性豊かなしっぽをつくりました。
大人はすぐに、「上手につくらなければ…」と思うけど、そんなことはどうでもいいんです。しっぽを曲げるのは難しくて、子どもたちには上手につくれませんが、それは年齢や経験を重ねれば克服できること。それより「曲げてつくりたい」という意思をもつことが大切です。自分で工夫してその次の発想につなげていく…。子どもたちの頭にはいろんなアイデアが浮かんでくるので、想像力のすばらしさを感じることができました。大人になってもその気持ちを忘れないでほしいですね」。
できあがった自分のしっぽを、さっそく、身につける子どもたち。個性に合ったしっぽは、まるで本物のよう。ふたりでしっぽをからめて、ピンと背筋をのばして、ぐるぐる丸めて、ハイポーズ! お尻にしっぽをつけてみたら、なんだか野性が目覚めてくるようでした。
柴田美千里
造形作家。1961年、静岡県生まれ。1986年より野外彫刻展を中心に作品を発表。ワークショップや山内啓司氏のビデオフィードバックによる映像とのコラボレーションなどの活動もおこなっている。常設野外作品に『しまうま』(美ヶ原高原美術館)、『うし』『風をさがして』(花菖蒲園白井)がある。
mammoth No.26「MONKEY」(2013年3月15日発行)掲載
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