あらゆるものの調和とバランスを積極的につくりだす|ヴァンダナ・シヴァ(環境活動家)

「私たちは地球という星で暮らす家族。生物の多様性、人種や文化の多様性を互たがいに認めあい、他の種とこの地球を共有しているという感覚をもつことが大切です」。1980年代より、農業問題や環境問題、社会問題の研究に取り組み、インド国内にとどまらず、世界的に活動を続けるヴァンダナ・シヴァさん。1993年には、その功績がたたえられ、もうひとつのノーベル賞と呼ばれるライト・ライブリフッド賞や国連環境計画のグローバル500賞、そして2009年にはSave the World Awardを受賞した、国際的なオピニオンリーダーでもあります。そんな彼女が尊敬する人物は、インド独立の父と呼ばれるマハトマ・ガンディー。「彼の書物『ヒンド・スワラージ(真の独立への道)』は百年も前に書かれたとは思えないような内容で、平和を願う多くの方々にぜひ読んでいただきたいですね。彼が唱えつづけた「アヒンサー(非暴力)」は平和の第一条件だと私は思います」。
─ Q1. 平和について考えるようになったきっかけは?
1970年代初頭、私の住む地域で起こった森林伐採に対する抗議運動にボランティアとして参加しました。それを機に生態系の持続可能性に関する研究を始め、地球がいま直面している環境問題や農業問題について知るようになったのです。そして、農業や経済のグローバリゼーションが地球に与える危険性を訴えるとともに、農民たちに平和をもたらす有機農法の研究と普及活動を始めるようになりました。
─ Q2. 平和な世界をつくるためになにが必要だと考えますか?
私にとって平和とは非暴力です。それはたんに戦争がないというだけでなく、あらゆるものの調和とバランスを積極的につくりだそうすることでもあります。平和は人間同士の関係のみならず、人間と他の種との関係でもあるのです。エコロジカル・フットプリントを減らすことによって、平和は私たちの日常生活の一部となり得るでしょう。そして、消費者としてではなく、地球市民という意識をもって生活することで、世界をよりよい場所にすることができるでしょう。
─ Q3. 今後、あなたが目指すものはなんでしょう?
有機農法の研究や普及活動をおこなう「ナヴダーニャ」の活動の幅を広げ、有機農法によって農民が気候変動に対処できるよう支援したり、有機農業を通じて飢餓や貧困の問題に取り組んでいきたい。また、こうした活動に次世代をになう若者や子どもたちが参加できるよう、積極的に行動していきたいと思います。小さな種がやがて大きな実をつけるように、私たちの活動を通じて、地球のために平和の種をまく人の輪が広がっていくことが、私の夢です。
Vandana Shiva ヴァンダナ・シヴァ
1952年、インド生まれ。思想家、環境活動家。「科学・技術とエコロジー研究財団」、「ナヴダーニャ」といったNGO団体を主宰、大企業寄りの産業や農業に警鐘を鳴らし、農民の立場に立った有機農法の普及に努めている。ライト・ライブリフッド賞、国連環境計画のグローバル500賞、アースディ国際賞、Save the World Award 2009を受賞。『緑の革命とその暴力』、『食糧テロリズム』など著書多数。
※このインタビューは、マンモス19号「平和をつくろう!」(2009年9月発行)に掲載されています。
» What’s Peace?平和をつくろう!|Mammoth School