地球にありがとうの思いを込めて、 みんなで木を植えよう|中渓宏一(シードマン)

「僕が考える平和は、嬉しい、楽しい気持ちを大切にすること。僕にとってそれは木を植えて歩くことです」。徒歩で旅をし木を植える活動を続けている「SEED MAN」こと中渓宏一さん。今年は半年かけて日本を縦断し、千五百本を植樹しました。
「歩く」のはその土地を身体で感じ、自然や人々の営みに感謝する気持ちが生まれるから。「木を植える」のはその感謝の表明__自然こそが「地球の財産」であり平和のもとであるという、中渓さんの考えかたと行動はとてもシンプル。一歩一歩、一本一本の積み重ねが地球の平和につながると信じています。
「木を植える楽しさを、とくに子どもたちと共有したい」という中渓さん。小学校では、葉が厚く水分が多いため防災林の役割もする照葉樹を校庭に植えるなど、地域の将来を見据えた植樹もおこなっています。「子どもから親、親から地域、地域から世界へと、地球を思う気持ちと木を植える楽しさが拡大していくと嬉しいです」。
─ Q1. いまの日本は平和だと思いますか?
まちがいなく平和です。宗教や民族の対立もなく自然にも物質的にも恵まれている。世界の多くの国を歩きましたが、今回、全国を縦断して、こんなに住み心地のよい国はないと実感しました。ただ、いまこの瞬間は平和ですが、継続には努力が必要。それをどれだけみんなが自覚しているか。山を歩いているとダムやトンネル、道路の建設現場がいたるところにあり、本当に必要な開発なのか疑問に思いました。平和を続けるために、将来への方向性を考えるべきときだと思います。
─ Q2. 平和について考えるようになったきっかけは?
英国人の環境活動家ポール・コールマンさんに出会ったことが、僕の生きかたを変えました。彼は20世紀に戦争で亡くなった1億もの人の魂をしのび、世界中を歩いて同じ数の1億本の平和の木を植える活動をしています。ともに木を植えた人々の心のなかにも平和の木が植えられて、それが広がっていくと地球が平和の森に包まれる。南アフリカで彼と出会い、大きな衝撃を受けました。その後、一緒に旅をして、明るい地球の未来を描く方法が僕の心に生まれました。
─ Q3. 平和な世界をつくるためになにが必要だと考えますか?
みんながシンプルに暮らすことではないかと感じています。今回の縦断は家族や仲間と一緒でしたが、食事は圧力鍋で炊いた玄米のおにぎり、寝るところはその場所で探す、そんなそぎ落とした暮らしがとても楽しく、また生きる力になりました。みな複雑で便利なものを追い求めがちですが、仲間と食べ物をつくり分けあって暮らす、そんな昔ながらの当たり前のことをひとりひとりが追い求めて生きれば、地球は平和になるのではないでしょうか。
中渓宏一 なかたに こういち
1971年生まれ。大学卒業後、総合商社へ就職するが6年後に退社し世界放浪の旅に出る。木を植えて歩く英国人ポール・コールマンさんに出会い、2003年6月から自らも活動を始める。著書に『地球を歩く木を植える』。
www.seedman333.org
Celebration Earth Walk
北海道から沖縄まで日本を縦断し、木を植えて歩く旅。国連「国際平和の日」の9月21日を目指し、中渓さんとその仲間が3月から180日間かけて総距離約2,500kmを歩いた。その間、各地の小学校などを訪問し子どもたちとともに植樹をしたり、環境授業もおこなった。
※このインタビューは、マンモス19号「平和をつくろう!」(2009年9月発行)に掲載されています。
» What’s Peace?平和をつくろう!|Mammoth School