Photo: Naoki Ishikawa

星の航海術を学ぶ

星の光は、私たちに安らぎをもたらしてくれるだけではありません。日本から遠く離れたミクロネシアにあるサタワル島では、大事な星の役割が受け継がれています。地球の反対側にも一日でいける時代に、日本から行くには飛行機や船を乗り継いで、最短でも10日はかかるという孤島。この島の先祖は、星をたよりにしてカヌーでやってきたと島のおじいさんは話します。そう、この島には星の航海術が今でも伝承されているのです。写真家の石川直樹さんは、島のおじいさんに弟子入りして、星の航海術を学びました。「島には海図もコンパスもない。しかし、夜空にある無数の星によって、自分が今いる位置と向かうべき方角がわかる」…驚くほど洗練された形で今に伝わる古代の航海術は、まさに生きていくための人間の知恵そのものといえます。
島のおじいさんに星の航海術を学ぶ一方で、島の規則や習慣を教えてくれたのは子ども達でした。「月と星の包み込むような優しい光の下で魚を釣り、カニを探し、歌い、そして話し込む」。星々の光の下、石川さんは子ども達と長い夜の遊びの時間を過ごしたそうです。
星は島の古老に航海での道筋を教え、島の子ども達にはキラキラとした目の輝きを与えてくれたのでしょうか。私たちの日々の生活では、慌ただしくて忙しい夜の時間。たまには子ども達と一緒に昼間の太陽光とは違った、星明かりの下での優しい時間を過ごしてみるのもいいですね。
 

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