画:安西水丸

子どもの視点と科学の目でサルとの共生を考える|加藤章 日本モンキーセンター園長

日本モンキーセンターのテーマは「サルを知ることは人を知ること」。1956年にサル類に関する調査研究、保護、教育活動を目的として設立されました。モンキーカレッジ(講座)やプリマーテス研究会(霊長類に関する研究会)などを行っています。サル類の展示を通じて、みなさんを科学の世界、自然への誘いをするのが私たちの仕事です。サルをじっくり見ていると、いろんなものが見えてきます。自分たちに近いものだからでしょう。

日本は先進国ではめずらしく野生のサルがいる国ですが、最近問題となっているのが猿害です。ニホンザルは広大な森を必要とする生きもの。サルが住める環境を残しておくことが環境指標にもなるのですが、ある県では年間2,000頭ちかいサルが処分されている。ニホンザルが「増えすぎている」ように思われがちですが、実は奥山のサルが住める環境が失われ、仕方なく人里に出没しているのです。これでは10年後に野生のニホンザルがいるかどうか心配です。私たちはどうやったらサルと人間が共存できるのかを日々考えています。

センター内に子どもたちが描いたサルの絵が飾ってあります。先入観なしに非常によく観察してサルを描いている。子どもの目にはドッキリさせられるし、大人が気がつかないことも教えてくれる。「減ったから守ろう、多いから殺そう」ではいけない。日本の自然保護はこれのくりかえしです。共生には、子どもの純粋な視点と、科学の目が必要ですね。

加藤章 かとう・あきら 
1955年岐阜県生まれ。日本モンキーセンター勤続32年。獣医師。2003年より動物園園長。(公社)日本動物園水族館協会種保存委員会委員・犬山市環境審議会委員・犬山里山研究所理事など現任。

mammoth No.26「MONKEY」(2013年3月15日発行)掲載
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