想像とのギャップ そこから障害を考える|ダウン症の人たちが集う アトリエ・エレマン・プレザン

ダウン症の人たちのアトリエ、アトリエ・エレマン・プレザン。将来は、アトリエを中心とした美術館や菜園もある「ダウンズタウン」という場をつくれたら…そうお話をしてくれたのは、このアトリエを運営する佐藤よし子さんと佐久間寛厚さんです。
– 画家である父の教え子に、すごい絵を描くダウン症の子がいました。父は障害のことをまったく知らず、「イイ絵を描く少年」としか思っていなかった。その少年がきっかけで、ダウン症の人たちとの関係が始まりました。いま、父と母は三重県で、私たちは東京で、おもにダウン症の人たちが集まって、ものをつくったり絵を描いたりするアトリエ・エレマン・プレザンを運営しています。将来は、アトリエを中心とした美術館や菜園もある「ダウンズタウン」という場をつくるのが目標です。彼らとの最初の出会いが作品だった場合、不思議な感覚になると思います。「どういう人たちが描いたんだろう」と思ったとき、「犯人」がダウン症の人だったというような。想像とのギャップに、みなさん驚かれると思う。その時の衝撃が強いほど、自分のなかにある「障害」ってことばをじっくりと考えはじめるんじゃないかな。-(佐藤)
– 僕らには見えていない「彼らの世界」があるんです。僕は、彼らに絵を教えることはありません。ただ、きっかけをつくるだけ。最近「ダウン症の人たちといると楽しい!」と関心をもつ若い人が増えてきました。若い彼らは、「たがいに理解しなければいけない時代」に来ているという意識を本能的にもっているんだと思います。「違う価値観」や「違う世界」で生きている人たちからなにかを見つけていくことが、必要になっている。だからこそ若い子たちが、アトリエに来たり、ダウン症の世界に興味をもつようになっているのかもしれないですね。-(佐久間)
 
佐藤よし子 佐久間寛厚
多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。ダウン症の人たちが集うアトリエ・エレマン・プレザンを運営。著書に『学校つくっちゃった!』(ポプラ社)がある。www.element-present.com/
※ このインタビューは、マンモス22号「Handicapped&Able」に掲載されています。