月の暦は自然のリズム 生物はみんなそうなっている|mammoth 暦特集インタビュー・森岡尚子さん

「暦」をテーマにしたmammoth “Calendar”特集のショートインタビュー。第4回は、主婦、農家の森岡尚子さんにお話を伺いました。
-月の暦は自然のリズム 生物はみんなそうなっている-
草を刈るときには、樹液やエネルギーが植物の先端に向かう満月のときに。根菜類を収穫するときには、反対にエネルギーが根っこに向かう新月のときに。農作業暦は、月の満ち欠けを基本につくられています。月に合わせて満ち引きするのは潮だけでなく、生き物は、そういうふうになっています。農業だけではなく、たとえば林業でも、新月のときに伐採すると腐りにくい材木になるとか、世界中にそんな話があるのは、それが事実だから。実際そうなんだから、こちらはそれに従って動くというだけ。そうしたほうが作物がうまく育ってくれるという実感もはっきりとあります。たとえば満月のころに収穫した地上作物は、食べてわかるのはもちろん、見た目にわかるほど生命力が強いんです。
生活全般においても暦を感じています。満月のころにお客さんがいっぱい来たり、逆に新月のころは静かだったりっていうのは、都会に暮らしているときから感じていました。いま住んでいる沖縄は祈りが色濃く残っていますから、そんなに熱心でない人でも、旧暦の新月である1日と満月である15日は、台所の火神(ヒヌカン)や仏壇(トートーメー)に御願(ウガン)する、などということが日常的にあります。
子どももすごく月の影響を受けやすくて、満月のころはなかなか寝ついてくれず、とにかくハイテンション(笑)。出産ももちろん、満月の満潮時から始まり、次の満潮時のタイミングで、子どもたちはみんな生まれてきてくれました。だから、子どもはほんとに全部わかってるんだなって。
森岡尚子 もりおか・なおこ
冷蔵庫を使わない暮らしを実践する3児の母。自然農法・福岡正信氏に師事した後、沖縄に移住し、現在は森岡農園を家族とともに切り盛りしている。著書に『沖縄、島ごはん』、『ニライカナイの日々』などがある。
mammoth No.27「CALENDAR」(2013年9月15日発行)収録