オオカミってこわい動物なの?|旭山動物園「オオカミの森」

オオカミと聞くと、どのようなイメージをもっているでしょうか? 絵本や童話に登場するオオカミは、ちょっと怖かったり、悪役だったりすることが多いかもしれませんが、実は、知能が高く、家族の愛情が深い動物なのです。
北海道旭川市・旭山動物園にある「オオカミの森」では、北海道で絶滅したエゾオオカミに近い種であるシンリンオオカミ(棲息地:カナダ)を飼育しています。北海道の自然を感じられる放飼場では、オオカミが走り回ったり、小川で水浴びをしたり、子育てをしていたりと、森の中に住むその生態を間近で観察できます。パネルには、オオカミの生態や北海道における人々との関わりなどが紹介されています。
北海道の先住民族であるアイヌの人たちは、オオカミのことを「狩りをする神様(ホロケウカムイ)」として深く尊敬していたそうです。明治以降の入植政策にともない、エゾオオカミは人間の手によって絶滅に追い込まれました。懸賞金をかけて駆除を奨励するなど、オオカミは人間と敵対する”害獣”として位置づけらたのです。同じ頃、本州、四国、九州でも、ニホンオオカミが絶滅しました。
旭山動物園の「オオカミの森」の隣には、新しく完成したばかりの「エゾシカの森」があります。そのかわいらしい姿とは裏腹に、今では数が増え、畑の農作物に被害をもたらす”害獣”として迷惑がられている存在でもあります。いつの時代も人間の営みは、森や動物との深い関わりの中で築き上げられてきました。こうした歴史を振り返り、人間と動物の関わりについて考えることは、未来の私たちの在り方を描く大事な一歩になるかもしれません。
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