ART WORK: MEJUNJE

自分の「いま」に敏感になること|高橋盾(ファッションデザイナー)

先のことなんて考えられないんですよ。未来のビジョンとか計画なんて、一度も立てたことありません。
アンダーカバーはTシャツからはじまって、東コレやパリコレのショウに出るようになった。インパクトが強い服をつくったり、ショウで人を驚かせることはおもしろかったし称賛も受けたんだけど、ふと「この服は自分たちが普段着られないのでは」と思った。それでショウを辞めて、もっと自由に自分たちが着れる服をつくろうと。
そんな感じで、実際に経験した時に初めて次のことが見えてくる。正直なところ、未来なんてわからない。次は「服」じゃないのかもしれない。でも、自分は一生何かをつくり続けていくんだと思っています。
未来はわからないんだけど「いま、自分がどう感じるか、何をしたいか」っていう感覚はすごく大切にしてる。楽しくおもしろいものをつくれて、家族も含めてみんながいい方向に向かう。みんながそういう考えを持てば、悪い方向にはいかないと思うんだけどな。
いま、子どもが2人いるんだけど、割と自由にしていますよ。子どもたちが自分で物事を判断できるように、いろんな価値観の人と接することができるような環境は整えてあげたいと思っています。自分が育った環境では、裕福な人も貧しい人もいて、そのなかでいろんなことを覚えていったから。あと、周りにおもしろい大人がいっぱいいるのも大事。自由だけど常識があるおもしろい大人たちに接するのも、子どもたちにはいい経験になると思う。
高橋盾 たかはしじゅん 
1969年生まれ。文化服装学院在学中、友人とブランド(UNDER COVER/アンダーカバー)をはじめる。1994年、94-‘95秋冬東京コレクションに初参加。2002年、‘03春夏 Paris COLLECTIONに初参加。
マンモス 21号 「IMAGINE THE FUTURE どんな未来を想像する?」(2011年9月発行) インタビューより
Text: Keiko Kamijo