土の上で生きれば、 幸せとはなにかが見えてきます|Yae(半農半歌手)

自分や家族が食べるぶんの米や野菜を自給しながら、個性を活かした仕事をもつ。「半農半X」(X=職業)と呼ばれる新しい生きかたの実践者として、Yaeさんは注目を集めています。「土の上で生きている。そう実感できるから、いまの私はまちがいなく平和です」。土に根ざした暮らしから得た自信が、Yaeさんのことばやたたずまいに満ちあふれています。
父親の故藤本敏夫さん(母親は歌手の加藤登紀子さん)が開いた千葉県の「鴨川自然王国」で暮らしはじめたのは四年前。「土の上の運命的な出会い」で結ばれた夫と、ふたりの男の子に恵まれ、東京生まれ東京育ちのYaeさんがいまや「私のルーツは里山にある」と喜びをかみしめる日々。食べ物を自作できることが「なにがあっても平和でいられる」という揺ぎない思いにつながっていると言います。
「生きることは食べること。それを育むのが土。そのシンプルで大切なことに気づけば、誰もが人間らしさを取り戻し平和でいられると思います」。
─ Q1. いまの日本は平和だと思いますか?
不況で人それぞれに思いがあるでしょうが、世界の平和も個人の平和もすべてはひとりひとりの心のなかから生まれることだと思います。経済状況と人が幸福であるかは無関係。ブータンが国民総生産(GNP)でなく国民総幸福(GNH)という指標を打ちだしていますが、そんなふうにして価値観を変えてみたらどうでしょう。日本は海と山がありそれぞれの幸に恵まれている。それだけでも、平和のもととなるすごい財産だと思います。
─ Q2. なぜ「土の上」での暮らしを始めたのですか?
父が他界して2年ほど経ってから、鴨川自然王国の畑の草取りを手伝ったのがきっかけでした。夏の日差しに蝉の声、土の感触、すべてが快感で、都会の暮らしで装っていたものをすべて脱ぎ捨てられた感じがしたんです。そうしたら、もう東京では生きられない。研修で王国にいた夫との出会いもあり移り住みました。歌手としての自己表現にも、土から得た生きるエネルギーが自然ににじみでる思いがあり、ぜいたくな暮らしをしているなと感じています。
─ Q3. 平和な世界をつくるためになにが必要だと考えますか?
みんなに農的な暮らしをぜひ実践してほしいです。その思いで2007年から始めたのが「種まき大作戦」。農村で実際に種まきや田植えをして、収穫したものを酒や味噌にしたりする機会を提供したり、最後は「土と平和の祭典」としてライブやトークショーといったお祭りをしています(今年は10月18日に日比谷公園で開催。詳細はwww.tanemaki2007.jp)。本来は、子どものころから土の上で暮らす体験ができて「生きることは食べること」を自然に身につけられればよいと思います。
鴨川自然王国
農的な暮らしを実習などで学ぶ「里山帰農塾」や農作業体験などのイベントを開催しているほか、農薬や化学肥料を使わずに育てた野菜の宅配もおこなっている。
千葉県鴨川市大山平塚乙
2-732-2
04-7099-9011
www.k-sizenohkoku.com
Yae やえ 半農半歌手
故藤本敏夫、歌手の加藤登紀子さんの次女として東京に生まれる。1999年より本格的に歌手活動を始め2001年にデビュー。鴨川で農的な暮らしをしながら二男を育てている。今年、鴨川自然王国内にカフェ「En」をオープン。
www.yaenet.com
※このインタビューは、マンモス19号「平和をつくろう!」(2009年9月発行)に掲載されています。
» What’s Peace?平和をつくろう!|Mammoth School